リールのドラグ設定について、これまでも触れて来ましたが、
それでも不安な方もおられる事でしょう。
今回は、それは何故なのか?について踏み込んでみたいと思います。
構造由来による性能の不安
恐らく、
ベイトリールドラグの構造が多くの方に不安を与えて来た要因だと考えます。
ベイトリールのドラグも昔よりは使い易くなっていると、以前に書いたのですが、
基本的な構造自体が変わった訳ではありません。
ワッシャーの大きさや枚数がモデルによっては少し変わったぐらいでしょう。
上が最大ドラグ値の大きなリール、下が最大ドラグ値の小さなリール
極端な話をすると、ドラグを使用する釣りにベイトリールは不向きです。
一方でスピニングリールは、タイラバのように着底を素早く感知し、
丁寧に巻き上げる釣りには不向きです。
タイラバって実は、この一長一短のデメリットを背負った釣りなのです。
そして、それを補うように上手に道具を扱う必要があるのです。
理想を言えば、超高性能のスピンキャストリールが生まれたら何かが変わるかもしれませんw
実際、何が不利なのか?
話は逸れましたがw
では、
ベイトリールのドラグがどのぐらい不利なのか?
まずスピニングリールは、スプールにドラグがついています。
スプールが一回転してドラグが出たら、ドラグも一周回ります。
そしてドラグワッシャーなどがベイトリールよりも沢山入っています。
次に、
ベイトリールでは、ギアにドラグがついています。
↑大きなメインギアの下部とギアの上部に、ワッシャー数枚で挟んでいます。
スプール一周分の糸が出された時、ドラグは一周回っていません。
おそらく、1/ギア比 しかドラグは滑っていないと思います。
上の写真で言えば、ドラグワッシャーの入っている大きなメインギアを一周させるのに、
小さい方のギア(≒スプール)は6回転なり、7回転しなければならないはずです。
少ないストロークを少ないワッシャー構造で制御しなければならない。
なので、設定が難しいと感じるのです。
実際、スタードラグをワンクリック分捻っただけで急に変わる場合もあります。
そして、これはベイトもスピニングも同じなのですが、
ドラグの制御というもの自体が、
ワッシャーとグリスの摩擦抵抗で機能が生まれるアナログ構造なので、
簡単にズレますし、正確ではありません。
おまけに、ベイトリールは強い負荷が掛かると糸がスプールに食い込んでラインの出を悪くします。
そこに、強度が不安定で結束の不安なPEラインの持つリスクが重なると…
あっさり切れた…、という経験が誰しもに起こり得ます。
正しい対処法
しかし、それらにビビっているともっと悪い事が起きます。
魚がバレる。
魚が上がって来ない。 などなど。
なので、適正な設定が必要です。
何もフルロックでパワーファイトをしろと言っている訳ではありません。
余裕を持って、PE0.6号ならば1Kg前後。 800g以上1.2kg以下ぐらいです。
ベイトリールにはギアにドラグがついていると申し上げた通り、
ドラグが緩すぎると、どれだけ一生懸命巻いてもギアは全く回転しません。
ベイトリールのドラグを回転させ過ぎるとドラグはどんどん削りカスで汚れ、
パーツを劣化させます。
滑り続けたドラググリスの熱で、更にドラグの力は弱まります。
ファイト中に締めようとすると、前述の通り、少しの締め込みで急激に設定値が変わります。
なので、更にラインブレイクの危険度が高まります。
最悪ですw
なので、切れない程度に余裕を持って1Kg前後か1Kg弱ぐらいの設定にしておき、
魚が掛かってから、様子を見て少しだけラインが出る程度に緩めながら、
余裕を持った方がファイトは安定します。
私的には、不安というよりも、
むしろシンプルでアナログな構造なのにドラグの機能を働かせる事が出来る
今のリールの精密さと技術って凄いもんだな、と思っています。
また、ドラグの良し悪しについて、対象魚や人それぞれ評価の基準が違います。
ある人にとっては、ドラグが滑らないように強く締められるようになったので嬉しい。
だし、
ある人にとっては、滑らかな滑り出しで安定してドラグが滑るようになったので快適。
なので。
それは、釣り方によって大きく変わります。
自分の釣りで必要なドラグ設定値をど真ん中で調整し易いリール=あなたにとって良いリールです。
リールの最大ドラグ値を参考に、1Kg前後のドラグを使用するタイラバに使い易いかどうか判断してください。
タイラバなら、フルロックで2Kg、3Kg、4KgMAXまでのリールで十分だと思いますよ。
スピニングタックルも同様
なお、スピニングリールの場合、ドラグが出ていてもギアは回せます。
なので、強めのドラグ設定でもラインは滑らかに出ますし、
巻けるチャンスが来た時にはラインを確実に巻き取りにかかってくれます。
ギリギリのファイトがし易いような構造になっています。
ちなみに、PEラインでもスピニングリールでドラグが緩すぎる状態で巻くと、
糸よれが発生します。この糸よれはラインブレイクやライントラブルの原因にもなりますし、
その後の投入で仕掛けが回転して魚を散らす(嫌がられる)原因にもなります。
なので、同様にきっちりと設定をしてください。という事になります。
そして、共通してドラグを出して魚が走っている時にはリールを無理に巻かない!!
という事です。
魚が走った時にドラグが出て、走っていない時にはドラグが出過ぎない。
その感覚を掴めるとキャッチ率は上がるはずです。
正しく使って性能を引き出しましょう。
リール自体、巻き上げの力は本来ベイトリールの方が強いはずです。
しかし、ドラグを緩く設定しすぎた場合には、巻けない=ベイトリールの方が非力
という、謎のw 逆転現象が起きます。
それでは道具が泣いています。
実際、私が使用したリールをメーカーの方に見ていただくと、内部はとても綺麗だそうです。
毎日潮をかぶって、大したメンテナンスもしていないのに、
半年以上使ってもの新品と変わらない程だそうです。
ハンドルノブのベアリングが錆びたりはしていますが、
ドラグに負荷はかけても、負担はかけていないという事の証明です。
皆さんは1ヶ月、2ヶ月で巻き心地が悪くなった事はありませんか?
中を開いたら真っ黒だった事はありませんか?
大切なリールが泣かないように、正しく使ってあげてください。
また、ドラグを緩めてそのまま巻け〜!!と現場で指示を受ける事がある方は、
ファイトが危なっかしくておぼつかないから、とりあえずそうしとけぃ〜!!
と、言われているのですw
きちんと設定して、落ち着いてやり取りしていたら誰もそんな事は言わないでしょう。
大丈夫です👌
※今回使用したリールの画像はリールメンテナンスのITOサービスさんに素材をお借りしました。
タイラバアングラーさん達のリール。ありがとうございます。
さて、あなたの中身はどうなってますか??